薬剤師免許を活かす企業就職:調剤薬局・ドラッグストア以外にある「第3の選択肢」

はじめに
薬剤師といえば、調剤薬局やドラッグストアでの勤務をイメージする方が多いかもしれません。しかし実は、薬剤師免許を活かせるキャリアの選択肢は、それだけではありません。製薬会社、CRO(医薬品開発業務受託機関)、医療機器メーカーなど、企業での活躍の場は年々広がっています。
本記事では、薬剤師が企業で働く「第3の選択肢」について、具体的な職種や年収、転職のポイントまで詳しく解説します。
企業薬剤師という選択肢が注目される理由
近年、企業薬剤師への転職を希望する薬剤師が増加しています。その背景には、以下のような理由があります。
ワークライフバランスの改善
調剤薬局やドラッグストアでは、土日祝日の勤務や夜間のシフトが避けられないケースも多く、プライベートとの両立に悩む薬剤師も少なくありません。一方、企業勤務では基本的に土日祝日が休みで、勤務時間も安定しているため、ワークライフバランスを重視したい方にとって魅力的な選択肢となっています。
専門性を高めるキャリアパス
企業では、新薬開発、薬事申請、品質管理など、高度な専門知識を活かせる業務に携わることができます。医薬品が世に出るまでのプロセスに直接関わることで、調剤業務とは異なるやりがいと成長機会を得られます。
年収アップの可能性
企業薬剤師の平均年収は、職種や企業規模によって異なりますが、一般的に調剤薬局やドラッグストアよりも高い傾向にあります。特に製薬会社やCROでは、経験を積むことで年収600万円~1,000万円以上を目指すことも可能です。
企業薬剤師の主な職種と仕事内容

企業で活躍する薬剤師の職種は多岐にわたります。ここでは、代表的な職種をご紹介します。
1. CRA(臨床開発モニター)
仕事内容
CRAは、新薬開発における治験が適切に実施されているかをモニタリングする重要な役割を担います。医療機関を訪問し、治験責任医師やCRC(治験コーディネーター)と連携しながら、治験の進捗管理やデータの品質確保を行います。
平均年収
- 未経験:約450万円~500万円
- 経験者:約600万円~800万円
- 実績を積むことで1,000万円以上も可能
求められるスキル
- コミュニケーション能力
- 医学・薬学の専門知識
- 出張が多いため体力とフットワークの軽さ
主な就職先
製薬会社、CRO(医薬品開発業務受託機関)
2. 薬事(レギュラトリーアフェアーズ)
仕事内容
医薬品や医療機器の製造販売承認申請書類を作成し、厚生労働省への申請業務を担当します。添付文書の作成や改訂、行政との折衝など、医薬品を市場に送り出すための重要な業務です。
平均年収
- 約500万円~700万円
- シニアレベルでは800万円以上も可能
求められるスキル
- 薬機法(医薬品医療機器等法)の知識
- 文書作成能力
- 細部への注意力と正確性
主な就職先
製薬会社、医療機器メーカー、CRO
3. メディカルライター
仕事内容
治験総括報告書(CSR)、治験実施計画書、学術論文、医薬品の添付文書など、医療・医薬に関する専門文書を作成します。高度な専門知識とライティングスキルが求められる職種です。
平均年収
- 正社員:約400万円~600万円
- 外資系製薬会社のシニアレベル:1,300万円~2,200万円
- フリーランス:プロジェクトベースで高収入も可能
求められるスキル
- 医学・薬学の専門知識
- 英語力(特に外資系では必須)
- 論理的な文章作成能力
主な就職先
製薬会社、CRO、医療系広告代理店、フリーランス
4. MR(医薬情報担当者)
仕事内容
医師や薬剤師などの医療従事者に対して、自社医薬品の情報提供や販売促進活動を行います。医療現場のニーズを収集し、フィードバックを企業に届ける役割も担います。
平均年収
- 約600万円~800万円
- 実績次第で1,000万円以上も可能
求められるスキル
- 高いコミュニケーション能力
- 営業力とプレゼンテーション能力
- 医薬品に関する専門知識
主な就職先
製薬会社、CSO(医薬品販売業務受託機関)
5. 品質管理・品質保証(QC/QA)
仕事内容
医薬品の製造工程における品質管理や、製造された医薬品の品質検査を行います。GMP(医薬品製造管理及び品質管理基準)に基づいた品質保証体制の構築・運用も重要な業務です。
平均年収
- 約450万円~650万円
- 管理職レベルでは700万円以上
求められるスキル
- 分析技術と検査スキル
- GMPやGQPに関する知識
- 細部への注意力
主な就職先
製薬会社、医薬品受託製造企業
6. DI(医薬品情報管理)
仕事内容
医薬品に関する情報の収集・管理・提供を行います。医療機関や営業担当からの問い合わせ対応、副作用情報の収集・報告、文献調査などを担当します。
平均年収
- 約450万円~600万円
求められるスキル
- 情報収集・分析能力
- 正確な情報提供スキル
- 医薬品に関する幅広い知識
主な就職先
製薬会社、医療機器メーカー
企業薬剤師への転職を成功させるポイント
1. 未経験でも挑戦できる職種を選ぶ
CRAやメディカルライター、薬事などは、未経験でも積極的に採用している企業があります。特にCROでは、薬剤師としての基礎知識を活かして、未経験からスタートできる研修制度が整っているケースも多くあります。
2. 転職時期を見極める
企業の採用は、年度初めや期の切り替わり時期に活発化する傾向があります。また、年齢的には20代後半~30代前半が最も採用されやすい時期とされていますが、専門性や経験によっては40代以降でも十分にチャンスがあります。
3. 必要なスキルを事前に習得する
英語力やPCスキル、プレゼンテーション能力など、企業で求められるビジネススキルを事前に身につけておくことで、選考を有利に進めることができます。特に外資系企業を目指す場合は、TOEICスコア700点以上が一つの目安となります。
4. 専門の転職エージェントを活用する
企業薬剤師の求人は、一般的な求人サイトには掲載されていないケースも多くあります。製薬・医療業界に特化した転職エージェントを活用することで、非公開求人や詳細な企業情報にアクセスでき、転職成功率が大きく向上します。
5. 自己分析とキャリアプランの明確化
なぜ企業薬剤師を目指すのか、どのような強みを活かせるのか、将来どのようなキャリアを描きたいのかを明確にしておくことが重要です。面接では、調剤業務だけでなく、企業での貢献意欲や成長意欲を具体的に伝えることが求められます。
企業薬剤師のメリットとデメリット
メリット
- 規則的な勤務時間:土日祝日休みで、ワークライフバランスを保ちやすい
- 高い専門性:新薬開発や薬事申請など、高度な専門業務に携われる
- 年収アップの可能性:実績次第で大幅な年収増が期待できる
- キャリアアップ:マネジメント職や専門職としてのキャリアパスが明確
- 社会貢献:医薬品が世に出るプロセスに直接関われるやりがい
デメリット
- 出張が多い職種もある:CRAやMRは全国の医療機関を訪問する必要がある
- 未経験からの転職は難易度が高い:専門知識やビジネススキルが求められる
- 調剤スキルが維持しにくい:現場から離れるため、調剤業務のスキルは低下する可能性がある
- 成果主義の側面:営業職などでは、実績が評価・報酬に直結する
まとめ
薬剤師のキャリアは、調剤薬局やドラッグストアだけではありません。企業薬剤師という「第3の選択肢」は、専門性を高めながら、ワークライフバランスと年収アップの両立を目指せる魅力的なキャリアパスです。
CRA、薬事、メディカルライター、MRなど、それぞれの職種には独自の特徴とやりがいがあります。自分の強みや価値観、将来のキャリアビジョンに合わせて、最適な選択肢を見極めることが重要です。
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