素材業界のサステナビリティ推進室:今、最も採用ニーズが高い「SDGs関連職種」とは

はじめに
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、素材業界は大きな転換期を迎えています。化学メーカーや素材メーカーでは、サステナビリティ推進室やESG推進部といった専門組織の設置が急速に進み、それに伴い新たな職種への採用ニーズが高まっています。
「環境への配慮」はもはや企業の社会的責任を超え、事業戦略そのものとなりました。特に素材業界では、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減が求められており、この分野に精通した人材の確保が企業の競争力を左右する時代となっています。
本記事では、素材業界におけるサステナビリティ推進室の役割と、今最も採用ニーズが高いSDGs関連職種について、転職市場の最新動向とともに詳しく解説します。
サステナビリティ推進室とは?素材業界における役割
全社横断的な推進組織
サステナビリティ推進室は、企業全体でのサステナビリティ活動を統括し、迅速な意思決定を行う中核組織です。特に素材業界では、原材料の調達から製造、製品の使用、廃棄・リサイクルに至るまで、バリューチェーン全体での環境負荷を管理する必要があります。
この部門は、経営層と現場をつなぐ架け橋として、以下のような重要な役割を担っています:
- サステナビリティ戦略の立案:2030年、2050年といった中長期目標の設定と実行計画の策定
- GHG排出削減の推進:温室効果ガス排出量の可視化と削減施策の実施
- 循環型経済への対応:リサイクル材の活用やサーキュラーエコノミーへの転換
- ステークホルダーとの対話:投資家、顧客、地域社会への情報開示とコミュニケーション
素材業界特有の課題
化学メーカーや素材メーカーでは、製造プロセスそのものが環境に与える影響が大きいため、技術革新と環境配慮の両立が求められます。例えば、化学品やポリマーの環境影響性評価、バイオマス由来原料への転換、製造工程でのエネルギー効率化など、高度な専門知識が必要な課題が山積しています。
今、最も採用ニーズが高いSDGs関連職種
1. サステナビリティマネージャー/戦略企画
求められるスキル・経験
- 経営企画、事業企画、新規事業開発の経験
- サステナビリティやESG関連のプロジェクト推進経験
- ステークホルダーとの調整力・交渉力
- 中長期的な視点での戦略立案能力
年収レンジ:800万円~1,500万円
サステナビリティ戦略を全社レベルで企画・推進するポジションです。経営層への提言や、各事業部門との連携を通じて、企業全体のサステナビリティ経営を牽引します。素材業界では、技術部門や研究開発部門との協働が特に重要となるため、理系バックグラウンドを持つ方も歓迎されています。
2. 環境影響評価スペシャリスト(LCA専門家)
求められるスキル・経験
- 化学、環境工学、材料工学などの専門知識
- LCA(ライフサイクルアセスメント)の実務経験
- 環境法規制への理解
- データ分析スキル
年収レンジ:700万円~1,200万円
化学品やポリマーの環境影響性(環境負荷)を科学的に評価し、より持続可能な製品開発を支援する専門職です。原材料の選定から製造プロセス、製品使用時、廃棄・リサイクル段階まで、ライフサイクル全体での環境負荷を定量的に評価します。素材業界において最も技術専門性の高いポジションの一つです。
3. カーボンニュートラル推進担当
求められるスキル・経験
- GHG排出量算定の知識・経験
- エネルギー管理の実務経験
- 省エネ施策の企画・実行経験
- 再生可能エネルギー導入プロジェクトの経験
年収レンジ:600万円~1,000万円
2050年カーボンニュートラルに向けた具体的な施策を企画・実行する役割です。工場でのエネルギー使用量の削減、再生可能エネルギーへの転換、サプライチェーン全体でのCO2削減など、実務的な取り組みを推進します。
4. サステナビリティコンサルタント(社内・社外)
求められるスキル・経験
- コンサルティングファームでの実務経験
- ESG投資、統合報告書作成の知識
- プロジェクトマネジメント能力
- 幅広いステークホルダーとのコミュニケーション能力
年収レンジ:600万円~2,000万円
企業のサステナビリティ戦略を外部から支援するコンサルタント、または社内で専門的な助言を行う社内コンサルタントです。ESG評価機関への対応、統合報告書の作成支援、TCFD提言への対応など、専門的なアドバイスを提供します。経験豊富なコンサルタントの場合、年収2,000万円を超える求人も出ています。
5. サーキュラーエコノミー推進担当
求められるスキル・経験
- 循環型ビジネスモデルの企画経験
- 廃棄物・リサイクル関連の知識
- 新規事業開発経験
- パートナーシップ構築能力
年収レンジ:650万円~1,100万円
リサイクル材の活用拡大、製品の長寿命化、リユース・リマニュファクチャリングの仕組み構築など、循環型経済への転換を推進します。素材業界では、使用済み製品の回収スキームやケミカルリサイクル技術の社会実装など、新しいビジネスモデルの創出が求められています。
6. サステナビリティ広報・IR担当
求められるスキル・経験
- 広報、IR、CSR広報の実務経験
- ESG投資家とのコミュニケーション経験
- 統合報告書、サステナビリティレポートの作成経験
- 情報発信力・ストーリーテリング能力
年収レンジ:600万円~1,000万円
企業のサステナビリティへの取り組みを社内外に発信する役割です。統合報告書の作成、ESG投資家向けの説明会、メディア対応など、企業価値向上につながる情報開示を担当します。
未経験からSDGs関連職種へ転職するには?
活かせるバックグラウンド
サステナビリティ推進室の採用では、必ずしもサステナビリティの直接経験が必須ではありません。以下のような経験を持つ方は、高く評価される傾向にあります:
- 経営企画・事業企画経験:全社戦略の立案や部門横断プロジェクトの推進経験
- 営業・マーケティング経験:社内外との調整力、関係構築力
- 研究開発経験:技術的バックグラウンド、新規性のあるテーマへの取り組み経験
- 広報・IR経験:ステークホルダーとのコミュニケーション能力
求められる人物像
サステナビリティ推進部に向いている人の特徴として、以下が挙げられます:
- 中長期的視点を持てる:2030年、2050年といった長期目標に向けて、段階的に施策を進められる
- 粘り強さ:すぐに成果が出にくい分野でも、地道に取り組みを継続できる
- 協調性:社内の様々な部門と連携し、時には社外パートナーとも協働できる
- 学習意欲:新しい技術や規制、社会動向を常にキャッチアップできる
- ホスピタリティマインド:相手の立場に立って考え、丁寧なコミュニケーションができる
2025年の転職市場動向
採用ニーズは引き続き拡大
2023年から2024年にかけて成長を続けてきたサステナビリティ・ESG関連の採用マーケットは、2025年も引き続き活況が予測されています。特に上場企業では、SDGsへの取り組み強化が求められることから、サステナビリティとダイバーシティに関連する求人が増加する見込みです。
転職成功のポイント
- 業界知識の習得:素材業界特有の課題や技術動向を理解する
- 資格取得の検討:サステナビリティ関連資格(CSRリーダー、環境マネジメントシステム審査員など)の取得
- 実務経験の棚卸し:これまでのキャリアで培った「課題解決力」「プロジェクト推進力」を整理
- 専門エージェントの活用:素材業界に強い転職エージェントに相談し、非公開求人情報を得る
まとめ
素材業界のサステナビリティ推進室は、企業の持続的成長と社会課題の解決を両立させる、やりがいのある仕事です。今後もSDGs関連職種への採用ニーズは高まり続けることが予想されます。
経営企画、技術開発、営業、広報など、様々なバックグラウンドを持つ方がこの分野で活躍できる可能性があります。「社会に貢献したい」「持続可能な未来づくりに関わりたい」という想いを持つ方にとって、素材業界のサステナビリティ推進室は魅力的なキャリアの選択肢となるでしょう。
オルソリンクサポートでは、化学・素材業界のミドルクラス・ハイクラス人材に特化した転職支援を行っています。サステナビリティ関連職種への転職をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。一人ひとりの価値観に寄り添い、最適なキャリアパスをご提案いたします。