「薬事申請(RA)」が足りない! 文系でも狙える? 専門職へのキャリアパス解説

「薬事申請」「レギュラトリーアフェアーズ(RA)」という言葉を聞いたことはありますか?医薬品や医療機器を市場に送り出すために欠かせない、専門性の高い職種です。実は今、この分野の人材が圧倒的に不足しており、文系出身者でもキャリアチェンジのチャンスが広がっています。
本記事では、薬事申請(RA)という職種の魅力、文系からのキャリアパス、そして転職を成功させるポイントを詳しく解説します。
目次
- 薬事申請(RA)とは? なぜ今、人材不足なのか
- 薬事申請の仕事内容:医薬品・医療機器を世に送り出す重要な役割
- 文系でも本当に目指せる? 必要なスキルと適性
- 文系からのキャリアパス:3つのルート
- 薬事申請職への転職成功事例
- 転職を成功させるための準備とステップ
- 薬事申請職のキャリア展望と年収
- まとめ:専門性を武器に、社会に貢献できるキャリア
薬事申請(RA)とは? なぜ今、人材不足なのか
薬事申請(RA)の定義
**RA(Regulatory Affairs)**とは、医薬品、医療機器、再生医療等製品、化粧品などを市場に出すために必要な承認申請や、承認後の各種手続きを担当する専門職です。日本では「薬事申請担当者」「薬事スペシャリスト」などと呼ばれます。
医薬品医療機器等法(薬機法)をはじめとする法規制に基づき、製品の安全性と有効性を証明するデータをまとめ、厚生労働省所管の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)への承認申請を行います。
なぜ今、人材が不足しているのか?
1. 医療・ヘルスケア市場の急拡大
高齢化社会の進展により、医薬品・医療機器市場は拡大の一途をたどっています。新薬開発、ジェネリック医薬品、医療機器、デジタルヘルスなど、多様な製品が次々と開発されており、それぞれに薬事申請が必要です。
2. グローバル化の加速
日本企業が海外市場に進出する際、各国の規制当局への申請が必要です。また、海外企業が日本市場に参入する際にも、日本の薬事規制に精通した人材が求められます。
3. 規制の複雑化
近年、再生医療やデジタル治療アプリなど、新しいタイプの製品が登場し、規制も複雑化しています。これらに対応できる専門人材の育成が追いついていないのが現状です。
4. 少ない専門教育機関
薬事申請を専門的に学べる教育機関が限られており、多くは企業に入ってから実務を通じて学ぶOJT形式です。そのため、即戦力となる経験者が市場に少なく、慢性的な人材不足となっています。
薬事申請の仕事内容:医薬品・医療機器を世に送り出す重要な役割
主な業務内容
承認申請業務
- 新薬、医療機器の製造販売承認申請書の作成
- PMDAとの相談対応(事前相談、対面助言など)
- 申請資料の作成・翻訳・編集
- 承認審査における照会事項への対応
承認後業務
- 一部変更承認申請、軽微変更届
- 添付文書の作成・改訂
- 再審査・再評価対応
- 海外規制当局への申請対応
戦略立案
- 開発初期段階からの薬事戦略立案
- 各国規制の調査・分析
- 開発チームへのレギュラトリーアドバイス
社内外との連携
- 研究開発部門、品質保証部門、営業部門との連携
- CRO(医薬品開発業務受託機関)との協働
- 規制当局との折衝
やりがいと社会的意義
薬事申請の仕事は、新しい医薬品や医療機器を患者さんのもとに届ける「最後の砦」です。あなたの仕事が承認されることで、これまで治療法がなかった病気に苦しむ患者さんに希望をもたらすことができます。
専門性が高く、責任も重大ですが、その分、社会貢献の実感が強く得られる職種と言えるでしょう。
文系でも本当に目指せる? 必要なスキルと適性
文系出身者が活躍できる理由
「薬事申請は理系の仕事」というイメージがあるかもしれませんが、実は文系出身者も多数活躍しています。その理由は以下の通りです。
1. 文書作成能力が重要
薬事申請の核心は、膨大なデータを整理し、論理的で説得力のある申請書類を作成することです。これは理系の専門知識よりも、文書構成力や表現力が求められる作業です。
2. 法規制の理解と解釈
薬機法をはじめとする各種法令、ガイドラインの理解と解釈が必要です。これは法学部出身者などが得意とする領域でもあります。
3. コミュニケーション能力
社内の研究開発部門、品質保証部門、経営陣、さらには規制当局との円滑なコミュニケーションが欠かせません。文系出身者の強みが活きる場面です。
4. 専門知識は入社後に習得可能
医学・薬学の基礎知識は、入社後の研修やOJTで十分に習得可能です。むしろ、柔軟な学習姿勢と継続的な自己研鑽の意欲が重要です。
求められるスキルと適性
必須スキル
- 論理的思考力:複雑な情報を整理し、因果関係を明確にする力
- 文書作成能力:正確で分かりやすい文章を書く力
- 細部への注意力:書類の誤りが承認遅延につながるため、高い正確性が求められます
- 学習意欲:法規制は頻繁に改正されるため、常に最新情報をキャッチアップする姿勢
あると有利なスキル
- 英語力:海外規制への対応や英文資料の読解に必要(TOEIC 700点以上が目安)
- プロジェクトマネジメント能力:複数の申請案件を並行して管理する力
- 交渉力:規制当局との折衝において重要
向いている性格
- 細かい作業が苦にならない
- ルールや手順を守ることに抵抗がない
- 責任感が強く、期限を守る意識が高い
- チームで協力して仕事を進めることが好き
文系からのキャリアパス:3つのルート
ルート1:新卒・第二新卒で製薬企業・医療機器メーカーへ
対象: 20代前半~中盤、社会人経験3年以内
製薬企業や医療機器メーカーの薬事部門では、新卒・第二新卒採用を積極的に行っている企業があります。特に大手企業では、教育体制が整っており、文系出身者向けの研修プログラムも充実しています。
メリット
- 体系的な教育が受けられる
- 若いうちから専門性を身につけられる
- キャリアの選択肢が広い
デメリット
- 競争率が高い
- 初期は給与が低めの場合も
ルート2:CRO(医薬品開発業務受託機関)で経験を積む
対象: 20代後半~30代前半、異業種からの転職希望者
CROは製薬企業から開発業務を受託する企業で、薬事申請業務も扱っています。未経験者の採用にも積極的で、入社後の教育体制も整っている企業が多いのが特徴です。
メリット
- 未経験でも比較的転職しやすい
- 多様な案件に関われるため、短期間で経験を積める
- その後、製薬企業への転職もしやすい
デメリット
- クライアント対応のプレッシャーがある
- 繁忙期は残業が多くなることも
ルート3:関連職種からのキャリアチェンジ
対象: 30代以降、関連業界での経験者
すでに医療業界や関連業界で働いている方は、その経験を活かして薬事申請職にキャリアチェンジすることが可能です。
活かせる経験
- MR(医薬情報担当者):製品知識、医療現場の理解
- 品質保証(QA):GMP、品質管理の知識
- 臨床開発(CRA):臨床試験の理解
- 学術・メディカルライティング:医学文書作成スキル
- 知的財産部門:法的文書作成スキル
メリット
- 業界知識があるため、スムーズに適応できる
- これまでのキャリアを無駄にせず活かせる
- 即戦力として評価されやすい
デメリット
- ポジションが限られる場合がある
- 年齢によっては転職のハードルが上がる
薬事申請職への転職成功事例
ケース1:法学部卒、法律事務所勤務からCROの薬事担当へ(Cさん・28歳)
転職前の状況
法律事務所でパラリーガルとして3年間勤務。契約書チェックや法的文書作成に携わってきましたが、より専門性の高いキャリアを築きたいと考え、転職を決意。
転職活動のポイント
- 法的文書作成スキルを薬事申請書類作成に活かせることをアピール
- 薬機法や医療関連法規を独学で学び、基礎知識を習得
- CROの未経験者歓迎ポジションに応募
転職後の状況
入社後3ヶ月の研修を経て、医療機器の承認申請業務を担当。法律の知識が規制解釈に役立ち、上司からも高評価。現在は後輩の指導も任されています。
Cさんのコメント
「法律事務所での経験が意外なほど活きています。細かい条文解釈や論理構成は、薬事申請書類作成にも共通するスキルでした。医学知識は入社後に学びましたが、専門書や研修でカバーできました」
ケース2:文学部卒、編集プロダクション勤務から製薬企業の薬事部門へ(Dさん・32歳)
転職前の状況
医学系出版社の編集者として5年間勤務。医学書の編集を通じて医学知識に触れ、より直接的に医療に貢献したいと考えるように。
転職活動のポイント
- 医学文書の編集経験を強調
- 医学知識の基礎があることをアピール
- TOEIC 800点の英語力を武器に、グローバル展開する製薬企業を志望
転職後の状況
中堅製薬企業の薬事部門に転職。英文申請資料の作成や、海外規制当局への申請対応を担当。編集経験で培った「分かりやすく伝える力」が申請書類作成に大いに役立っています。
Dさんのコメント
「編集者時代に医学論文や専門書に触れていたことが、医薬品の理解に役立ちました。また、複雑な内容を分かりやすく伝える編集スキルは、申請書類作成にそのまま活かせています」
ケース3:経済学部卒、営業職からMRを経て薬事担当へ(Eさん・35歳)
転職前の状況
IT企業で法人営業を3年経験後、製薬企業のMRに転職。5年間のMR経験で医薬品知識と医療業界への理解を深め、より専門的なキャリアを目指して薬事部門へ異動。
転職活動のポイント
- MRとして培った製品知識と医療現場の理解
- 営業経験で培ったコミュニケーション能力
- 社内公募制度を活用し、薬事部門への異動を実現
転職後の状況
MR時代の製品知識が活き、スムーズに業務に適応。医療現場の声を理解しているため、申請戦略立案においても現場感覚を活かした提案ができています。
Eさんのコメント
「MR時代に医師や薬剤師と話してきた経験が、承認申請でも役立っています。製品がどのように使われるかを理解していることで、より実践的な申請資料が作れていると感じます」
転職を成功させるための準備とステップ
ステップ1:基礎知識の習得(転職活動開始前)
学ぶべき内容
- 薬機法の基礎
- 医薬品・医療機器の承認申請プロセス
- GMP、GQP、GVPなどの基本概念
- 医学・薬学の基礎用語
学習方法
- 書籍:『薬事法規・制度及び倫理』『医薬品開発入門』など
- オンライン講座:日本薬事法務学会の講習、Udemy等
- PMDAのウェブサイト:審査報告書や相談事例の閲覧
- 業界セミナーへの参加
ステップ2:応募書類の準備
職務経歴書のポイント
薬事申請業務に活かせる経験を強調しましょう。
- 文書作成経験:報告書、企画書、契約書など
- プロジェクトマネジメント:複数案件の並行管理
- コミュニケーション能力:社内外との調整経験
- 細部への注意力:ミスの許されない業務経験
- 学習意欲:資格取得、自己啓発の取り組み
志望動機の書き方
- なぜ薬事申請職を目指すのか(社会貢献への想いなど)
- これまでの経験がどう活かせるか(具体的に)
- 入社後のキャリアビジョン
ステップ3:企業・求人の選択
企業タイプの選択
- 大手製薬企業:教育体制充実、安定性高い、競争率高い
- 中堅・ベンチャー製薬企業:裁量大きい、幅広い経験、成長性
- 医療機器メーカー:製品の多様性、グローバル展開
- CRO:未経験歓迎、多様な案件、転職しやすい
- コンサルティングファーム:戦略的業務、高収入、高難度
確認すべきポイント
- 未経験者の受け入れ実績
- 教育・研修制度の充実度
- 配属部署の規模と雰囲気
- キャリアパスの明確さ
- ワークライフバランス
ステップ4:面接対策
よく聞かれる質問と回答例
Q: なぜ文系から薬事申請職を目指すのですか?
A: 「前職で○○の経験を通じて、医療業界に貢献したいという想いが強まりました。薬事申請は、新しい医薬品を患者さんに届ける重要な役割であり、私の文書作成スキルと学習意欲を活かせると考えています。入社後は、医学・薬学の専門知識を積極的に学び、一日も早く貢献できる人材になりたいです」
Q: 医学・薬学の知識がない中で、どう対応しますか?
A: 「確かに専門知識は不足していますが、これまでも新しい分野に挑戦し、短期間で習得してきた実績があります。(具体例を説明)薬事申請に必要な基礎知識は、独学で学習を始めており(具体的な学習内容)、入社後も継続的に学ぶ意欲があります」
Q: この業界の志望動機を教えてください
A: 「(具体的なエピソード)を通じて、医療が人々の人生を大きく変える力を持つことを実感しました。私も医療の発展に貢献したいと考え、薬事申請職を志望しました。新しい治療法を待つ患者さんに、一日でも早く届けることに貢献したいです」
ステップ5:転職エージェントの活用
薬事申請職への転職では、業界に精通した転職エージェントの活用が非常に有効です。
エージェント活用のメリット
- 非公開求人へのアクセス
- 企業の詳細情報(社風、教育体制、キャリアパスなど)
- 職務経歴書・面接のアドバイス
- 企業との条件交渉の代行
- 業界動向や相場感の情報提供
選ぶべきエージェントの特徴
- 医薬品・医療機器業界に特化している
- 薬事申請職の紹介実績が豊富
- 担当コンサルタントが業界出身者
- 転職後のフォローも丁寧
薬事申請職のキャリア展望と年収
キャリアパス
スペシャリスト路線
- ジュニアRA → シニアRA → RAマネージャー → RAディレクター
- 専門領域(新薬、医療機器、再生医療など)のエキスパートへ
マネジメント路線
- RAマネージャー → 薬事部長 → 執行役員
- 組織全体の薬事戦略を統括
グローバル路線
- グローバルRA → リージョナルRAヘッド
- 海外拠点での勤務、国際プロジェクトのリード
コンサルタント・独立
- 薬事コンサルタントとして独立
- 規制戦略アドバイザー
年収の目安
経験年数別の年収レンジ
- 未経験~3年目:400万円~550万円
- 3年~5年目:500万円~700万円
- 5年~10年目:650万円~900万円
- 10年以上・マネージャー:800万円~1,200万円
- 部長クラス:1,000万円~1,500万円以上
※企業規模、業種、地域によって大きく異なります。
年収アップのポイント
- 英語力(特にTOEIC 800点以上)
- 複数領域の経験(医薬品+医療機器など)
- マネジメント経験
- グローバルプロジェクトの経験
- 専門資格(薬事法務技能士など)の取得
将来性
業界の成長性
医療・ヘルスケア市場は今後も確実に成長が見込まれます。特に以下の分野で薬事人材のニーズが高まっています。
- 再生医療・細胞治療:iPS細胞などの新技術
- デジタルヘルス:治療アプリ、AIを活用した医療機器
- バイオ医薬品:抗体医薬、遺伝子治療
- 希少疾病用医薬品:オーファンドラッグ
- 個別化医療:コンパニオン診断薬
AIとの共存
「AIに仕事が奪われるのでは?」という懸念もあるかもしれません。しかし、薬事申請は規制当局との折衝や戦略的判断が必要で、完全に自動化することは困難です。むしろ、AIをツールとして活用し、より高度な業務にシフトしていくと考えられます。
まとめ:専門性を武器に、社会に貢献できるキャリア
薬事申請(RA)は、医薬品や医療機器を世に送り出す重要な役割を担う専門職です。理系出身者が多いイメージがありますが、実は文系出身者も十分に活躍できる職種です。
文系出身者の強み
- 論理的な文書作成能力
- 法規制の理解と解釈力
- コミュニケーション能力
- 柔軟な学習姿勢
薬事申請職の魅力
- 専門性が高く、市場価値が向上する
- 社会貢献の実感が強い
- 安定した業界で長期的なキャリアを築ける
- グローバルに活躍できる可能性
- 比較的ワークライフバランスが取りやすい
今、この分野は深刻な人材不足です。だからこそ、文系出身者にもチャンスがあります。必要なのは、学び続ける意欲と、人々の健康に貢献したいという想いです。
もしあなたが、専門性の高いキャリアを築きたい、社会に貢献できる仕事がしたい、と考えているなら、薬事申請職は有力な選択肢の一つです。
オルソリンクサポートができること
株式会社オルソリンクサポートは、化学・メディカル業界に特化した人材コンサルティングファームとして、薬事申請職へのキャリアチェンジを専門的にサポートしています。
私たちは、製薬企業、医療機器メーカー、CROなど、幅広いネットワークを持ち、未経験からの薬事申請職転職実績も豊富です。文系出身者が活躍できる企業を熟知しており、あなたのバックグラウンドを最大限に活かせるポジションをご提案します。
オルソリンクサポートの強み
- 医薬品・医療機器業界に精通したコンサルタント
- 文系から薬事職への転職成功事例多数
- 企業の教育体制や社風まで把握した詳細情報
- 一人ひとりの価値観を尊重したキャリア設計
- 転職後の定着までサポート